トレーニング〜2

kuroken2006-08-05

今日は土曜日ということもあって、たくさんのかた(といっても3名だけど)が面会に来てくださいました。
三重県からわざわざ電車とバスを乗り継いできてくれたH君には、お願いしてイヤホンを買ってきてもらいました。音楽用のヘッドホンは持ってきていたんですが、これだとテレビを楽しむときに短すぎて……。今夜からは快適にテレビを見られます。
寝たきりの人に、何メートルの長さのイヤホンが必要かなんて、普通の生活をしていたら絶対にわかりませんよね。排泄のことから始まり、毎日、寝たきりがいかに不便であるかを痛感している黒田です。
H君からの差し入れは、郡上踊りのDVD。郡上市で行なわれるこの盆踊り――僕の大のお気に入りで、例年なら毎週のように出かけているところなんですが、今年は残念ながら一度も踊りに行くことができません。もらったDVDで、夏祭りの雰囲気だけでも味わいたいと思います。
H君と歓談している間に、トレーニングの時刻となり、ついでだからとぐるんぐるん回っているところも見学していってもらいました(今日の写真はH君撮影)。
30分のトレーニングを終え、ゴーグルをはずすと、そこには名古屋の古本界を牛耳る未読王さんの姿が。をを。まさか来てくださるなんて。
レーニングのあと、看護学生に頭を洗ってもらったり、身体を拭いてもらったりする姿を、王様は「いいなあ、いいなあ」と指をくわえながら、羨ましく眺めておりました。
王様。雑誌の差し入れ、ありがとうございます。でも、僕の面会に来たのか、看護学生とのおしゃべりを楽しみにやって来たのか、イマイチよくわかりませんでしたね……(笑)。
さらに、王様と入れ替わるような形でスキークラブ仲間のIさんが来訪。エッチ度高めのDVD付き雑誌を頂戴しました。


……うーん。


いや、嬉しいんですよ。嬉しいんですけど、この雑誌に目を通して、悶々となった気持ちを、僕はどこへぶつければいいんでしょう?
まあ、でも今は、自分でもびっくりするくらい性欲ってものがありませんので、早くこの手の雑誌をうはうはと楽しめるまでに回復したいものです。
皆さん、どうもありがとうございました!
ところで、今日会いに来てくれた全員が、あちこち道に迷って大変だったみたいなので、今後来てくださるかたは、事前にメールで連絡をくださいね。詳しい場所をお教えしますので。あと、午後2時から6時くらいの間に来てくださると、ケアスタッフのかたにもあまり迷惑がかからないので、ありがたいです。


さて、昨日の続き。
先輩宇宙飛行士2名の疲労ぶりを見て、「一体、どれだけ過酷なトレーニングが待ち受けているんだ?」と不安倍増。マジで胃がシクシクと痛くなってきた私、黒田研二
ああ! どうして僕は、トレーニンググループを希望してしまったんだろう? このまま20日間、ただ寝て過ごすだけなら、こんなストレスも抱えずにすんだのに……。馬鹿、馬鹿、けんぢの馬鹿っ! ……と自分を罵っても、もはやあとの祭り。ぴーひゃらら〜♪
このまま、明日が来なければいいのに――と思っても、時は非情です。宇宙旅行2日目を迎え、ついに僕の初トレーニングのときとなりました。
ストレッチャーに乗せられ、トレーニングルームへと移動。うう……すでに気持ち悪いよ。耐G測定のときの、イヤぁな感覚がよみがえってきます。うーん、うーん、やりたくないよお、逃げ出したいよお、おがあぢゃあああああん。
「えっと……もう一度確認しますけど、1.4Gで30分間、エアロバイクを漕ぐんですよね?」
「そうです(きっぱり)」
「僕、耐G測定では1.2Gまでしか耐えられなかったんですけど、それでもやるんですか?」
「はい!」
「僕、みんなほど年も若くないし、そーゆーところでなんらかの考慮は……」
「ありません! さあ、早く遠心機の中へ入って」
「あ、待って。まだ心の準備が……」
最後の悪あがきも無駄に終わりました。こうなったら、肝を据えるしかありません。
「では、最初のトレーニングを始めます」
不安と緊張で、全身からはイヤな汗が。
重く低いモーター音と共に、機械は回り始めました。下半身が足のほうへと引っ張られ、上半身が立ち上がってくる、あの奇妙な感覚が再びよみがえります。
今回のトレーニングと前回の耐G測定の決定的な違いは、ペダルを漕いでいるか否かという点。ペダルを漕がずにじっとしていると、身体が異常を感じて、そのまま失神してしまう可能性もあるわけですが、ペダルを漕ぐことで血液の循環がよくなり(なのかどうかはよくわかりませんけど)、高Gにも耐えられるんだそーな。
その言葉を信じて、僕は無我夢中でペダルを漕ぎ続けました。足もとには、さらに高いGがかかっているので、なかなかスムーズには漕げません。カクン、カクンとぎこちない動作で、なんだかロボットになったような気分。
5分……6分……
おっ。気持ち悪くならない。
これはなんとかなるかも。
ほんの少し、目の前に明かりが見えてきたような……と思ったそのとき、次の悲劇は起こりました。
明日に続く!