非トレーニング群

kuroken2006-08-28

今日の1枚は、20日ぶりに立ち上がろうとしている僕。


さて。
もし、あなたがこの宇宙医学実験に参加したとして、毎日トレーニングをするグループと、1日ずっと寝ていられるグループ──一体、どちらを希望しますか?


僕は迷うことなく、トレーニンググループを希望しました。遠心機を使ったトレーニングを体験してみたいという気持ちもありましたが、それよりも、「20日間も寝たきり生活を続けたら、そのあとまともに歩けなくなるのでは?」という不安が大きかったからです。
ネット上でも、
「足の骨を折って、1週間入院したことあるけど、最初は全然歩けなかったよ。20日間も歩けなかったら、一体どうなることやら」
とか、
「まともな生活に戻るには、1ヵ月以上かかるんじゃない?」
など、様々な憶測が流れてましたし。
でも、実際には「歩けなくなる」なんてことはまったくありませんでした。
骨を折って入院したあとのリハビリが大変なのは、筋力の衰えよりも関節が固まってしまうことにあるんだと思います。僕たちは、寝たきりだとはいっても、関節は自由に動かせたわけですからね。
20日間の宇宙旅行で確かに筋力は衰えましたが、歩けなくなるほどではなかったです。確かに、立ち上がった瞬間はまともに歩けませんでしたよ。でも、それは平衡感覚が鈍っていることに最大の原因があったような気がしますし。
毎日、トレーニングをしていたから大丈夫だったんじゃないの? そう感じたかたもいらっしゃるでしょう。実際、僕も最初はそうなのだと思っていました。きっと、トレーニングをしていないグループは、筋力が衰えてまともに立っていられないだろう、と。
だけど、そんなことはありませんでしたね。
レーニングをしなかった人たちも、立ち上がったあとは普通に歩いてました。筋力は、間違いなく僕たちトレーニンググループより衰えていたでしょうけど、それにしたって歩けなくなるほどではなかったみたいです。まあ、皆さん、若かったってこともあるんでしょうが、20日間寝たきりでも、日常生活に支障が出るほど弱るわけではないってことです。


非トレーニング群に属していたOさんのその後について知る機会があったのですが、話を聞いて驚きました。いやあ、すごいですよ。
立ち上がってから3日後──無事出所した彼は、そのまま友人とカラオケボックスに赴き、両腕をぶんぶん振り回しながら夜中まで絶唱。翌日はプールに出かけ、午前10時から午後4時までひたすら全身運動。さらにそのあと、ダーツに卓球にビリヤードとさんざん遊びまくったんだとか。
……若いなあ。
さすがにその翌日の筋肉痛はすさまじいものだったそうですけど……。
要するになにがいいたいかと申しますと、人間は20日間寝たきりになったくらいじゃ、くたばらないってことです。
この実験、来年も行なわれる予定ですが、「体験してみたいけど、歩けなくなるのはイヤだなあ」と不安を感じている皆さん、ご心配なく。


いや、でもちょっと待て。


「毎日のトレーニングはものすごくつらいと思うけど、トレーニングをしない人たちは、実験後に地獄を見ることになるから」
僕、その言葉を支えに実験中の過酷なトレーニングを頑張ってきましたが……あれれえ?
貴重な体験ができたので、トレーニンググループに属したことを後悔はしていません。でも、単純に「どちらが楽か?」だけを考えた場合、ずっと寝たままのグループを選ぶのが正解だったのかなあ。


非トレーニング群のお話。もう少しだけ続きます。