続・非トレーニング群

kuroken2006-08-29

今日の1枚は、立ち上がったあとで見つけた張り紙。
これを見ただけでも、どれだけトレーニングがハードだったかわかってもらえるでしょ?
ホント、スタッフの皆様にはいろいろとご心配をおかけしました。


さて。
僕らトレーニング群は、毎日、遠心機によるハードなトレーニングが待ち受けていたため、それだけで1日のほとんどすべてが終わってしまうような感じでした。いや、トレーニング自体は1時間ほどで終わるんですが、始まるまでの緊張感と終わったあとの安堵感が大きすぎて……。だから、暇だ、退屈だ、と感じることはほとんどなかったんですよね。
では、トレーニングをしていない人たちは、一体どんな日常を送っていたんでしょう?
実験期間中にトレーニング群と非トレーニング群が出会うことはまったくといっていいほどなかったので、おたがいのことはわからずじまい。20日間のベッドレストが終わったあとで、ようやく詳しい話を聞くことができました。


「毎日、なにをやってたの?」
「みんなでくだらないこと話し合ってたかなあ」
「くだらないことって?」
サザエさんの人気キャラクター投票をしたり、ドラえもんの新作映画を考えてみたり
「ホントにくだらねえっ!」


でも、なんだかとっても和気あいあいとした印象。
う、羨ましい。
レーニング群のほうは、トレーニングのための出入りが激しかったので、1日中和気あいあいって感じには絶対にならなかったですからね。ただ、連帯感だけはものすごくあったような気がしますけど。


果たして、どちらの生活が充実していたのか。
来年の実験には無理矢理お邪魔して、それぞれのグループをじっくり観察してみたいなあ。


……ちなみに、サザエさんの人気キャラクター投票──1位はタマ、2位はアナゴさんだったそうです。

非トレーニング群

kuroken2006-08-28

今日の1枚は、20日ぶりに立ち上がろうとしている僕。


さて。
もし、あなたがこの宇宙医学実験に参加したとして、毎日トレーニングをするグループと、1日ずっと寝ていられるグループ──一体、どちらを希望しますか?


僕は迷うことなく、トレーニンググループを希望しました。遠心機を使ったトレーニングを体験してみたいという気持ちもありましたが、それよりも、「20日間も寝たきり生活を続けたら、そのあとまともに歩けなくなるのでは?」という不安が大きかったからです。
ネット上でも、
「足の骨を折って、1週間入院したことあるけど、最初は全然歩けなかったよ。20日間も歩けなかったら、一体どうなることやら」
とか、
「まともな生活に戻るには、1ヵ月以上かかるんじゃない?」
など、様々な憶測が流れてましたし。
でも、実際には「歩けなくなる」なんてことはまったくありませんでした。
骨を折って入院したあとのリハビリが大変なのは、筋力の衰えよりも関節が固まってしまうことにあるんだと思います。僕たちは、寝たきりだとはいっても、関節は自由に動かせたわけですからね。
20日間の宇宙旅行で確かに筋力は衰えましたが、歩けなくなるほどではなかったです。確かに、立ち上がった瞬間はまともに歩けませんでしたよ。でも、それは平衡感覚が鈍っていることに最大の原因があったような気がしますし。
毎日、トレーニングをしていたから大丈夫だったんじゃないの? そう感じたかたもいらっしゃるでしょう。実際、僕も最初はそうなのだと思っていました。きっと、トレーニングをしていないグループは、筋力が衰えてまともに立っていられないだろう、と。
だけど、そんなことはありませんでしたね。
レーニングをしなかった人たちも、立ち上がったあとは普通に歩いてました。筋力は、間違いなく僕たちトレーニンググループより衰えていたでしょうけど、それにしたって歩けなくなるほどではなかったみたいです。まあ、皆さん、若かったってこともあるんでしょうが、20日間寝たきりでも、日常生活に支障が出るほど弱るわけではないってことです。


非トレーニング群に属していたOさんのその後について知る機会があったのですが、話を聞いて驚きました。いやあ、すごいですよ。
立ち上がってから3日後──無事出所した彼は、そのまま友人とカラオケボックスに赴き、両腕をぶんぶん振り回しながら夜中まで絶唱。翌日はプールに出かけ、午前10時から午後4時までひたすら全身運動。さらにそのあと、ダーツに卓球にビリヤードとさんざん遊びまくったんだとか。
……若いなあ。
さすがにその翌日の筋肉痛はすさまじいものだったそうですけど……。
要するになにがいいたいかと申しますと、人間は20日間寝たきりになったくらいじゃ、くたばらないってことです。
この実験、来年も行なわれる予定ですが、「体験してみたいけど、歩けなくなるのはイヤだなあ」と不安を感じている皆さん、ご心配なく。


いや、でもちょっと待て。


「毎日のトレーニングはものすごくつらいと思うけど、トレーニングをしない人たちは、実験後に地獄を見ることになるから」
僕、その言葉を支えに実験中の過酷なトレーニングを頑張ってきましたが……あれれえ?
貴重な体験ができたので、トレーニンググループに属したことを後悔はしていません。でも、単純に「どちらが楽か?」だけを考えた場合、ずっと寝たままのグループを選ぶのが正解だったのかなあ。


非トレーニング群のお話。もう少しだけ続きます。

水泳大会

kuroken2006-08-27

今日は地元桑名市で、市民水泳大会が行なわれました。
この1ヵ月間、まったく練習ができなかった(ってゆーか、歩いてすらいなかった)ので、まともに泳げるかどうか、ひじょーに不安でしたが、いざ蓋を開けてみると、予想以上の好タイム。ををを。これもトレーニングの成果でしょうか?
競技役員も兼ねていたため、炎天下の中、何時間も忙しく動き回っていましたが、体調が悪くなることもなく、大会は無事に終了。よかった、よかった。
宇宙旅行中、「エントリーしておきましたので、どうぞよろしく」とコーチからメールをもらったときは、「えええ? ベッドから起き上がって1週間でホントに大丈夫?」と不安になって、何度参加を取りやめようと思ったことか。起き上がった直後も「やっぱり無理。早めにキャンセルの連絡をしなくっちゃ」と幾度となく電話を手にしたんですが、コーチに怒られるのが怖くて結局いえずじまい(苦笑)。でも、結果的にそれでOKでした。参加できてホント、よかった。好タイムで泳げて、今はとても満足しております。
ってなわけで、実験中に心配をおかけしました皆様、僕はすっかり元気になりましたので。


あ。
今日は最後の被験者が出所する日ですね。
これで、すべての実験が終了するわけで。
なんだか寂しいです。
最後の被験者で、共にトレーニングを頑張ったSさん、Tさん、お疲れ様!
存分に娑婆の空気を味わってください。


明日は非トレーニング群の皆様についてレポートいたします。

シェイプアップ

kuroken2006-08-26

日課のスイミングを終えたあと、鏡に自分の全身を映してみると、ををを、やっぱり腰のあたりがスッキリしたような気がします。いや、とはいっても、まだ円盤みたいな形をしているんですが。
でも、つまんだ感じが実験前とはずいぶん違うような……。


本日は、実験前と実験後の体組成測定データをご紹介。


【実験前 7/28】
体重 74.80kg
体脂肪率 21.1%
脂肪量 15.80kg
筋肉量 55.95kg
ウェスト 86cm


【実験直後 8/20】
体重 70.85kg
体脂肪率 20.0%
脂肪量 14.2kg
筋肉量 53.70kg
ウェスト 82cm


驚くは、ウェストの減り具合。
このままの状態が続けばいいな♪ と思っていたんですが……


【実験後2日目 8/21】
体重 71.95kg
体脂肪率 20.6%
脂肪量 14.8kg
筋肉量 54.20kg
ウェスト 83cm


うう……ちょっとずつ増加してるぞ。


【実験後3日目 8/22】
体重 72.40kg
体脂肪率 20.0%
脂肪量 14.5kg
筋肉量 54.90kg
ウェスト 84cm


脂肪量はなんとかとどまってますけど、ウェストの増加はとまらず……(涙)。
重力で押さえつけられて、お腹のあたりが潰れてきているのか?
そういえば、実験直後は1.2cm伸びた身長も、すっかりもとに戻っちゃったもんなあ。その分がウェストに?


【実験後4日目 8/23】
体重 72.70kg
体脂肪率 20.2%
脂肪量 14.7kg
筋肉量 55.60kg
ウェスト 85cm


ウェストが……ウェストがああああ(涙)。


それにしても、筋肉の増加はすごいですね。毎日、確実に増えてきています。実験後4日目までくると、実験前とほとんど変わっていませんし。


さて。
今日は自宅近くのスポーツショップに出かけ、体組成を測定してきました。
その結果は以下のとおり。
愛知医科大学のときとは計測の仕方が違うので、純粋に比較はできませんが、驚くべき数値が。


体重 71.10kg
体脂肪率 15.0%
脂肪量 10.7kg
筋肉量 57.30kg


思わずにんまり。
わずか数日で、脂肪量が4kgも減るはずはないので、あんまり信用はできませんが……。
後日、もう一度計り直してみたいと思います。
ちなみに、2ヵ月前には「12(やや過剰)」だった内臓脂肪レベルが、今日の測定では「8(標準)」に下がっていました。


まあ、でも、とにかく痩せたことは間違いないわけで。
もしかしてエアロバイク効果? ──そう考えた僕は、衝動的にエアロバイクを買ってしまいました
いや、実験中からほしいなあとは思っていたんですけどね。
商品が届いたら、詳細をご報告いたします。

ラジオ出演

kuroken2006-08-25

今朝は早起きして、名古屋へ。
CBCラジオ「多田しげおの気分爽快!」に生出演してきちゃいました。
出番待ちの間、新聞を眺めていたんですが、ををを、ラジオ欄を見たら、ちゃんと「特集・20日間ベッドで宇宙の旅」って書かれているじゃないですか。うわあ、キンチョーするなあ。
午前8時過ぎに、ドキドキしながらスタジオ入り。
もちろん、ラジオに出演なんて初めての経験です。
まず、多田アナが僕のプロフィールを紹介。
黒田研二さん。恥ずかしながら私は存じ上げなかったんですが、実はミステリ小説の世界ではかなりの有名人でいらっしゃるとか──」


ごめんなさい。
全然、有名じゃありませんから(T_T)


質疑応答の形で番組は進行していきました。
「どのようなベッドで20日間、過ごしたんですか?」「この実験に参加してみたいと思ったきっかけは?」という質問から始まり、話題はやはり排泄系へ(笑)。
しかし朝の番組なので、あまりどぎついこともいえず、そのへんはさらりと流そう……と思ったのですが、やっぱりおしっこ、う×この話でかなり時間を使っちゃいましたね。そのために、トレーニングのことや立ち上がったあとの話は、かなり急ぎ足になっちゃいました。


放送終了後、番組を録音したカセットテープを頂きました。をを。一生の宝物だなあ。
家に帰ってから聴き直してみましたが、いやあ、これってメチャクチャ恥ずかしいですね。
ときどき、思いきりどもってるし。


「食事も寝たままなんですね。食べて、喉を通っていくものですか?」
「あの……通りま……さどん、通りませんね」


さどんってなんだよ。さどんって。


……夕方になって、思いがけないメールが舞い込んできました。
なんと、三重県内にある某科学施設から、「ラジオを聴きました。ぜひ、講演に来てくださいませんか」との依頼が。専門的なことはなにもしゃべれませんけど、それでもいいのならってことで引き受けちゃいました。
どうやらまだしばらく、この宇宙実験関連で小銭が稼げそうな気配です。ふっふっふっ。←やらしいってば。

最初の1日

kuroken2006-08-24

宇宙旅行は終わりましたが、まだまだ語っていないこともあるので、もうしばらくこのブログは続けていきますね。皆さん、どーぞよろしく。
今日の1枚は、マイナス6度のベッドに横たわりながら、ネットを徘徊する僕です。


さて。
突然ですが、明日(25日)の午前8時過ぎから、CBCラジオ「多田しげおの気分爽快!」に生出演します
宇宙実験の被験者の一人として呼ばれました。
一体、なにをしゃべればいいのやら(ドキドキ)。


昨夜は、自宅のお風呂にゆっくり浸かって、1ヵ月放置されていたベッドでぐっすり寝ました。やっぱり我が家はくつろげますね。
今朝は6時に起床。
すっかり、早起きが染みついちゃいましたよ。目を覚まして、「ああ、もう検査も測定もないんだ」と思ったら、なんだかムショーに寂しくなったり。
朝食を食べたら、ソッコーで近所の理容店へ。伸びきった髪と髭を短く整えてもらわないといけません。
店へ入った途端、「昨日、テレビに出てませんでした?」とご主人に訊かれちゃいました。うわあ、見てくれてたんだあ。
当然、散髪中は宇宙実験の話ばかり。この先しばらくは、誰と顔を合わせても、話題には困りませんね(笑)。
午後からは、宇宙旅行に持っていった荷物と、この1ヵ月間に届いた郵便物の整理。思ったよりも時間がかかってしまいました。
僕より1日早く出所したCさんは、翌日映画を楽しみ、Nさんは温泉三昧だったらしいですけど、うーん、僕は一体なにをやっているんだか。
夕方からは通常の日課どおり、スイミングに出かけました。
実は今度の日曜日、大会があるんですよね。
今の状況で本当に出場できるのかどうか不安だったんですが、実際に泳いでみたら、まあなんとかなりそうな感じなので、ほっ。足の筋力はトレーニング効果でほとんど問題ないのですが、腕の筋力はかなり落ちてしまいましたね。これから頑張って筋肉をつけていくしかありません。
「ひさしぶりだな」
泳いでいると、コーチが声をかけてきました。小学生の頃から指導してもらっていた先生なので、今でも頭が上がりません。
今回の宇宙実験に関しては、なにも説明しておらず、「仕事でしばらく家を離れるので、あんまり泳げないと思います」といってあっただけでした。
「顔を見ない間、練習はしてたのか?」
「……すみません。まったく泳いでいませんでした」
「全然、泳いでないのか。しょーがないな」


本当は泳いでいないどころか、歩いてさえいなかったんですが。


そんなことは口が裂けてもいえません(焦)。
まあ、大会は恥をかかない程度に頑張ってきます。

旅の終わり〜事後測定最終日

kuroken2006-08-23

ほぼ1ヵ月に渡って行なわれた宇宙実験も、今日ですべて終了。
出所の日がやって来ました。
本日の測定はほんのわずかだったので、とくにやることもなく、朝からぼんやり。
テレビをぼおっと眺めたあと、時計に目をやると、「あれ? まだ8時?」
雑誌をぱらぱらとめくったあと、時計に目をやると、「あれ? まだ8時半?」
病院内をぶらぶら散歩したあと、時計に目をやると、「ええ? まだ9時なの?」
時間が流れるのが遅い、遅い。
ベッドレスト中は「退屈だ」と感じたことなど一度もなかったのに、今日は暇で暇で仕方がありません。
寝ているときと、立っているときとでは、時間の流れ方が違うんでしょーか?
「退屈だあ、退屈だあ」とぼやいていたら、CBCテレビのかたが再び取材に来られて、簡単なインタビューを受けちゃいました。
その取材がなかったら、あまりの退屈さに、溶けてバターになっていたかもしれません(意味不明)。
どうやら、今日の夕方に放送された模様。
「くろけん、痩せた?」と連絡が入りましたから。
はい。痩せました♪
このまま、スリムになってやる。


テレビ局の皆さんが帰ってしまうと、再び退屈な時間が。
ってなわけで、午後からはケアスタッフの手伝いをひたすら。いや、単に邪魔してだだけかもしれませんが。
視線を感じて顔を上げると、ケアスタッフの一人がじっと僕の顔を見つめています。な、なに? もしかして惚れた?


「黒田さん……老けましたね」


がああああああああっ。


「寝ているときのほうがダンディーでした」


……ううう。
ベッドレスト中は、顔がむくんで肌が艶やかだったんでしょうね。それが立ち上がって血液が下に戻り、逆にげっそりとした表情になってしまったみたいです。あと何日か経つと、げっそり感もなくなってベッドレスト前の状態に戻るらしいですが。
寝ているときは、「ええ? 37歳なんですか? とてもそんなふうに見えません」「学生だと思ってました」といわれていたのに、立ち上がってからは、「年相応になりましたね」「顔がオジサンになってますよ」「お爺ちゃん、腰が痛いんですか?」とすっかり年寄り扱い。
チクショー。


一生、寝て過ごしてやろうか。


そうすれば、きっと永遠の若さが手に入るのね(ぽわわわ〜ん)。


午後7時半に、最後の測定が終了。
すべてが終わったところで、「お疲れ様!」とみんなに拍手をしてもらいました。
そのあと、一緒に出所するKさんの誕生日がまもなくということで、プチ・バースデイパーティを開催(写真)。
食事制限の呪縛から逃れ、口にするケーキ。
うめええええええ。
まだ制限中の皆さんには目の毒だったでしょうけど(申し訳ありません)。


午後8時。
みんなに見送られて、愛知医科大学病院をあとにしました。
……やっぱり寂しかったですね。
皆さん、1ヵ月近くの間、本当にどうもありがとうございました。
つらいこともたくさんありましたが、これまでの人生でもっとも心に残るサイコーのひと夏でしたよ。
この実験に参加してよかった! と、今は幸せを噛みしめております。
え? また参加したいかって?


…………。


…………。


…………。


こーゆー貴重な体験を独り占めするのはちょっと……。
できるだけ多くの人に同じ気持ちを味わってほしいので、僕は遠慮しておきます(焦)。
あ、でも、スタッフとして参加するならいいかも。
次回の実験では、僕が遠心機を回しましょうか?(笑)